自己破産
自己破産とは裁判所を通して裁判手続きにより債務整理する方法です。地方裁判所に破産手続等を申立てて借金をゼロにする(免責といいます)ことです。生活や仕事を維持するために必要な家財や道具と最低限の資産を除きマイホームなど自分のもっている一定の財産は全て処分され、債権者に配分されます。任意整理、特定調停、個人再生(民事再生)を行ったとしても返済することができないほどの大きな借金がある場合に考える借金の返済方法で法的に借金を帳消しにすることができます。
自己破産が認められるのには
自己破産の手続きをするためには、破産原因として支払不能の状態であることが必要です。裁判所に自己破産申立てをし、裁判所が支払不能と認めれば、自己破産開始の決定が下ります。支払不能に当たるかどうかは、それぞれ個別の状況(現在の収入、支出、年齢、財産など)によってあらゆる判断材料で判断されます。
自己破産で考えられる2つのケース
破産手続きの開始が決定され価値のある財産を持っていると判断された場合、債権者に財産分配などの破産手続きが進められます。このように財産分配するために破産管財人を選任することから管財事件といいます。
また、価値のある財産を有していない場合でも、支払不能に至った経緯等につき、調査が必要な場合や、借金をゼロとする(免責)ことを認めることの相当性に問題がありそうな場合にも、破産管財人が選任されることがあります。
これに対して、破産者にめぼしい財産がなく、上記のような調査等も必要がないような場合には、この財産分配の手続きを省略して、破産手続き開始と同時に破産手続きを終了させることになります。開始と同時に廃止となるため同時廃止と呼ばれます。自己破産手続きをする方の多数はめぼしい財産を持っていないことが多いため、同時廃止になるケースの方が多いといえます。
管財事件に必要な費用(予納金)について
管財事件としての処理が妥当であると判断されると、破産管財人が選任され財産分配などの破産手続きに入りますが、手続きには時間が掛かり、また費用(予納金)も必要になるので、債務者にとり大きな負担です。水戸地方裁判所管内では、そうした負担を軽減する少額管財手続自体は採用していませんが、弁護士が代理人として申立てを行うことで、実質的に予納金の金額を低廉にすることが可能なこともあります。
自己破産を検討する場合
自己破産は多重債務から困っている方を救済する国の制度で再スタートを目指す方には適している制度ですが、借金を帳消しにする代わりに自分のもっている一定の財産(細かい運用は裁判所やご本人の状況により異なりますので、詳しくは弁護士にご相談ください。)は全て処分されますので、住宅ローンを組んでおり、その住宅を保持し続けたい場合など、手放したくない財産がある場合は個人再生(民事再生)をご検討ください。
また、免責が確定するまでは制限が出る資格や職業があります。一例ですが、税理士、司法書士、弁護士、宅建業者、警備員、生命保険募集人などの資格や職業にある方は一時的に資格や職業を失います。さらに、破産者は、後見人、保佐人、遺言執行者などにはなれません。
税金・健康保険・罰金等は自己破産しても免責されません。また過去に既に免責を受けている場合や過度なギャンブルでの借金の場合は免責が下りない可能性がありますのでこの点も考慮が必要です。