法人・会社の任意整理
裁判所を通す法的整理は再建型(民事再生、会社更生)と清算型(自己破産、特別清算)に別れますが、任意整理の手続きを選択した場合、再建型・清算型のいずれも利用できるので、弾力的に素早い処理が可能です。しかし、債権者との合意によって、会社の再建ないし清算を進める事になりますので、債権者数が多くなく、返済額・返済期間について、債権者と個別に合意できそうな場合にしか利用できないというデメリットがあります。
経営難ということが知れてしまえば、取引先は警戒し、取引に慎重になる可能性が高くなり、場合によっては短期間で今まで通りの取引ができなくなる可能性があります。任意整理は裁判所を通した手続きではない上に個別の債権者との交渉なので、会社の評判が大きく傷つくという事が比較的避けられます。可能性があるのであれば法的整理の前に検討してみる方法だと言えます。
特定調停
今まで銀行とのリスケ交渉では、通常借入金支払の返済スケジュールの見直しに留まり元本の減額に応じてもらえず、再建への見通しが見いだせない状況でした。そこで、これまで個人が消費者金融と調整する手続きという位置付けだった特定調停を、日本弁護士連合会が平成25年に金融円滑化法終了への対応策としての最高裁判所、経済産業省中小企業庁と協議し、特定調停スキーム利用の手引きを策定しましたので、金融機関との元本の減額を交渉する余地が広がりました。特定調停は裁判所で行われる手続きですが、話し合いを前提とする手続きですので私的整理に位置付けられます。特定調停を申立てるには経営改善計画書の策定とそれに基づく金融機関との事前交渉が必要になります。金融機関との合意をもとに、再建を図っていく必要がありますので、通常の任意整理と同様に限界はありますが、裁判所が入りますので、手続きの公正さや透明性から債権者の信頼を得やすくなると言えます。