会社更生
会社更生は裁判所を通じた再建型の倒産処理手続です。経営破綻になった企業を潰さずに、事業を継続しながら再建を図るための手続きで、裁判所が選任する管財人の下で会社の再建を目指します。株主は権利を失い、元の経営者は経営に関与することができなくなります。会社は新たなスポンサーの下で、経営資源を活かして新しい経営陣が経営をしていきます。会社更生手続きはコストや時間が膨大に掛かるので、会社更生法を適用されるのは、上場企業が大半で、大会社を再建するための手続きだと言われています。
どのような時に会社更生の申立ては可能なのでしょうか。
1.破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがあるとき。
支払不能、債務超過、支払停止などのおそれがあるときです。この場合の申立権者は該当の株式会社または債権者・株主になります。
2.弁済期にある債務を弁済することとなれば,その事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるとき。
財務の弁済に必要な原資を捻出するためには現に使用し事業の継続に必要な財産(例えば工場)を売却することに頼らなければならない結果,事業に支障を生じるであろう場合をいいます。この場合の申立権者は債権者・株主になります。
申立権者が債権者の場合は資本金の額の10分の1以上に当たる債権を有すること、申立権者が株主の場合は総議決権の10分の1以上を有する株主であることが条件です。
会社更生は時間が掛かる手続きです。
会社更生法が適用された場合、債権者の利益より会社の再建が最優先されることが前提となりますが、民事再生が迅速に再建を図ることを目的としているので経営者は経営を続けることができ、担保権者の担保権行使に原則制限がないのに対して、会社更生では経営者は経営に関与することができず、株主も交代し、担保権者の担保権行使にも制限があります。民事再生と比較すると厳格に時間を掛けて会社を再建する手続きと言えます。
再建型法的整理の民事再生と会社更生の主な相違点
民事再生 | 会社更生 | |
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対象 | 法人・個人を問わず (中小企業など広く対象) |
株式会社のみ (主に大企業が対象) |
経営者・株主 | 元の経営陣が経営を続けながら再建を行う事が原則。株主の権利維持が原則。 | 元の経営陣は経営に関与できないのが原則。株主の権利は失われます。 |
担保権の扱い | 債務減額の対象とはならず実行できるが、競売手続きの中止命令および担保権消滅制度があります。再生計画認可後の担保権の実行は可能になります。 | 債務軽減の対象となり、行使はできません。 |
計画の可決要件 | 債権者の過半数の賛成かつ議決権者の議決権の総額の過半数の賛成。 | 更生債権者は、議決権総額の2分の1を超える者の同意。 更生担保権者は、(1)期限猶予を定めるものについては議決権総額の4分の3以上の同意、(2)減免等の権利変更を定めるものいついては議決権総額の4分の3以上の同意、(3)更生会社の事業全部の廃止を定めるものについては議決権総額の10分の9以上の同意。 |